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『まんがで読破 資本論』

 快進撃を続けるイースト・プレスさんの「まんがで読破」シリーズ。『資本論』がとうとう出た。

 よくまあこんな風にアレンジしたなあ、というのが第一の感想。すごい着想だと思う。しばしば『資本論』は一番最初が難しく、そこを通り越すと徐々に面白くなってくるなどと言われ、その例として第一巻第八章「労働日」が挙げられたりするけれども、まさにここに焦点を当てた、という感じ。たぶん定義的なものをすっとばして『資本論』について語ろうとするならば、そうしたことになるんだろうと思う。

 『資本論』に至るまでの道筋というのは色々あるんだろうと思う。極めて教科書的(?)にいえば『空想から科学へ』『賃金・価格・利潤』『反デューリング論』といった順なのだろうけれども、実は、『
イギリスにおける労働者階級の状態』が一番なんじゃないだろうか、という気がこれを読んでみて強く感じたこと。

 要するに、『資本論』は、実態を掘り下げていったわけで、理論が先にあったわけではない……と書くとちょっと誤解を招くかもしれないが、でも、必ずしも間違いというわけでもあるまい。スミスまで遡ることを強調していたのは高島善哉であったかと記憶する(『マルクスとヴェーバー』)。それはそれで一つの途だが、複数あるであろう『資本論』へと至る途を、追体験しようという試みが重要なのかもしれない。

 見田石介さんの名著、『資本論の方法』(最初は弘文堂、その後大月書店発行の著作集に収録)の復刊なんて話が出てくると面白いとも思うのだが。
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by todoroki-tetsu | 2008-12-21 01:26 | 業界 | Comments(0)

石垣りん「定年」

 派遣切りだとか、リストラだとか、今に始まったこっちゃないのか、それとも今までの延長線上で語ることは出来ないのか、よく分からないまま、漠然とした不安だけが強くなってきている気がする。自分にも、周りのスタッフにも、お客さんにも。

 今日、ある版元の営業さんからちらと「ヨーロッパでは『資本論』ブームらしいですよ」とのお話を伺う。ヨーロッパっていっても広いんだけどなあ、とかいろいろ考えながら、少し興味のある話ではある。
 
 『資本論』については『まんがで読破 資本論』の初速好調なのが気になるところだが、これはまた別途。

 こうしたいわゆる「資本の論理」とか「大企業批判」だとか、そういう話の時には、どうも「敵」がすごく明確に語られてしまう、あるいは結論というか処方箋がもうすでにある、というような語られ方をしてしまうきらいがある。『資本論』にはすでに答えがある、みたいなものいいですね。そりゃ、ヒントは山ほどあるだろうけれども、そうは言ったって100年以上前の本でしょうに……と文句の一つも言いたくなる僕はあまのじゃくなのだろうか。

 そう思ってふと読み返したのが、石垣りんさんの「定年」(『略歴』所収)。

 ある日

 会社がいった。

 「あしたからこなくていいよ」


 人間は黙っていた。
 
 人間には人間のことばしかなかったから。

 
 会社の耳には
 
 会社のことばしか通じなかったから。

 (以下略)
 

 
 
 こんなつぶやきのような言葉から「資本」について考えられるとよいと思うのだけれども。
 
 文学をあまり読まない、なんて言ってちゃいかんなぁ、と思う今日この頃。言葉を、見つけ出していかなくては。
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by todoroki-tetsu | 2008-12-16 23:59 | 批評系 | Comments(0)