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書店員イデオロギー論(2)構造の骨格

 書店員が何かしらの物事を考えたり仕事を実際にやっていく際に、いくつかの次元があると考えることが出来る。


 まず、一個人としての判断や行動がある。これを次元Ⅰとする。後述するが、書店員はその店の経営方針や職場環境などによってその判断や行動は条件付けられ、より大きな経営体である会社全体からももちろん条件づけられる。だが、局面局面においては個人として主張/行動しうる。圧倒的な力の差はあるとはいえ、しかし、全く主体性がないとも言えない。それに、個人としてはAが正しいと信じるが、会社の方針としてBに従わざるを得ない、ということも日常茶飯事である。そうしたこともひっくるめて、一個人としての判断や行動がある。そういえる次元が確かに存在する。

 
 次いで、その勤務している書店の一員としての判断や行動がある。これを次元Ⅱとしておこう。ここでは店と本社が別にあるような、そういう状況を想定している。単独店舗の上位概念として会社を想定しよう。これを次元Ⅲとする。単独店舗がすなわち会社全体であれば、その場合には次元Ⅱと次元Ⅲとがぴったりと重なり合っている、そのように考えてよい。

 
 要するに、
 

・次元Ⅰ=個人

・次元Ⅱ=店(より正確には特定の単独店舗)

・次元Ⅲ=会社

  
 というわけだ。


 この三つの次元のうち、考察のもっとも要となるのは、次元Ⅱであると思われる。次元Ⅱは書店員として判断・行動する際のもっとも基礎となる単位であり、そこには書店員として働くことにまつわるありとあらゆる喜怒哀楽が凝縮されている。まずは、次元Ⅱを成り立たせる要素を分解してみよう。

 
 第一に、会社の経営方針が具体的に現れる最小単位であるということ。経営方針の不在も顕在も、すべては単独店舗において具体化される。

 
 第二に、働く者にとっての場=職場であるということ。そこには上司もいれば部下もいる。先輩もいれば後輩もいる。正社員もいれば契約社員もいる。そういう場の中で様々な力学をお互いに意図するとせざるとにかかわらず発揮しながら、ある時はつらくもなり、ある時は楽しくもなり……そんな日々を過ごす。


 第三に、第一の裏返しであるのだが、店は顧客との個別具体的な接点であるということ。その前線に立つ書店員は、自分の勤める店舗の顧客の動向の影響を大きく受ける。必ずしもその影響を受け止めきれていないことも多々あるが、それはまた別の角度で考えることになろう。


 この三つの要素が絡み合いながら、書店員の判断や行動に影響を及ぼしていると考えることが出来る。逆に、書店員個人がこれら三つの要素に影響を受けるだけでなく与えることも大いにある。


 それらの絡み合いについて、思考を進めていこう。いくつかの具体例を今、思いだそうとしているところである。

by todoroki-tetsu | 2011-12-20 22:49

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