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日記その6

11.テレビと地震
 食事をしてホテルに戻ってもまだ19:00前。沈む夕日はきれいだが、落ちてしまえばそれまでのこと。普段テレビは全く見ないが、何の気なしにNHKをつける。

 NHK新潟が作成したという、新潟の避難所で生活する(あるいは仮設住宅に帰る)南相馬市の住民を追った番組が期せずして放映されていた。玄侑宗久さんがゲストとして登場している。地図を引っ張り出しながら、この人はこのあたりに住んでいて今避難所にいるんだな、と確認してみる。自分が直接歩いた場所ではないけれど、あの道をもっと行った先なんだな、と想像してみる。それにどんな意味があるのかは判らない。

 南相馬市は仮設住宅の建設が進まない地域だそうだが、番組では物理的な制約が強調されていた。山間部は線量が高いと考えられ、平野部は津波の被害にあっており、市の南側の多くは福島第一原発の20キロ圏内にある。そんな中で土地提供を申し入れる職員と、懸念を示す地権者とのことが少しふれられていた。

 地権者いわく、「(市側は2年というが)2年で本当に住むのかどうか。ここに大量の人が流れ込んでくるのも心配」と。それはそうだろう、と思う。

 昼間に見た東北電力の仮設電柱のことも思いだされ、土地、特に私有地というのは随分とデリケートなものなのだな、と思う。では、土地収用とは何なのか。例えば沖縄では何が行われてきたのか、考えなければと連想がとんでいった。

 続いての寺田寅彦を基調にした番組も興味深かった。NHK仙台の製作。今回の津波は過去にも起きた規模のことであり、それが忘れ去られていったことについて追求していた。忘れることが多い、と世間一般のこととしてなどではなく自分自身のこととして自覚しようとしている旅先であり、妙に符合するものだな、と思った。

 福島大学の副学長に二人の学者が就任したこと、セシウムの検出された稲わらの出荷側と畜産農家のそれぞれのコメントが報じられていた。確かに80キロ離れていれば……という気になる。そう思うのが正しいのかどうかは判らない。

 全国版の番組に切り替わって間もなく、さあ寝るかと思った矢先に、揺れた。福島での震度が実際のところどうだったのかは知らないが、東京23区で震度4と出たのは少しびっくりした。

by todoroki-tetsu | 2011-07-16 18:36

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