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ベルク「War is over」問題について

 東京を離れてしばらく経つ。もちろん、最近の動向は肌感覚ではわからない。


 TWITTERでなんとなく見ていると、どうやら「War is over」という貼り紙か何かに対し、オーナー・ルミネに「政治的だ」という意見を寄せた人がいるらしい。


 すぐさま感じたことなどはあれこれあるんだが、これは少し考えなければと思った。


 「War is over」という言葉が政治的だとは思わない。それを掲げてなぜ悪いのか。がんばれベルク……それくらいのことはすぐ言えるし、それは本音でもある。しかし。


 僕は小売業の人間である。日々、とは言わないが、いろんなご意見を頂くことが少なくない。接客サービスなど基本的かつ小売業共通の事柄もあれば、どの本がどう置かれているか/いないか、など、非常にデリケートな問題まで多岐にわたる。明らかにこちらに非があるものもある、そうとも必ずしも言えないなと考え込んでしまうものもある。


 オーナーとか、本社がからむと、一応何かしらの回答をしなければならない。こんなもの無視してしまえ、というものも中にはある。しかし、そうともいえないはざまであれこれ悩むことも多々あるのである。


 そうしたことを当事者として経験している身として、ただのベルクファンとして言いたいことを言うだけでいいのか、それはかえってご迷惑をおかけすることになりはしないか、自己満足にすぎないのではないか。そんなことを考えていた。


 今朝、ようやく時間ができたので、ひとまずルミネさんにメールした。この数日文面を考えていたのだが、基本は「何か言われたからには何か対応しなければ、というのはわかる。けれど、本件はテナント任せにしてしまえ、ベルクとベルクファンならうまくやる、「ご意見承りました」くらいでとどめておくのが最良でしょう、という趣旨。
 

 ルミネさんに味方になってくれとはいわないが、少なくとも敵でさえなければなんとかなる、という思い。オーナーがこうした態度さえ取ってくれれば、顧客との関係がしっかりできているお店はどうとでもできる、と考えたのだった。


 事態は収束するのかしないのか、いまだにはっきりしないようだが、まとまらないながらふたつのことを考える。


 ひとつめ。ずいぶんといやな世の中になったが、何かしなければいかんな、ということ。少し話が変わるが、日清のCMで起用した女性タレントさんについてクレームが入り、打ち切りになったことがあった。これについて小田島隆さんが「打ち切りにしたのはあまりよくない。クレーマーをつけあがらせるだけ」という趣旨のことをお話しされていた(TBSラジオ「たまむすび」)。

 
 店が気に入らなければ行かなければいいだけのことで、実はそうして顧客が離れるのが商売人としてのダメージは大きい。しかし、それでは承認欲求が満たされぬのだろう、だからいきおいこんで何かを言ってきたのではないかと思われる。朝日新聞に出稿する出版社さんにいちいちご意見ファックス送る心性とさほど変わるまい。ならば無視するに限る。とはいえ、そうもいかない仕組みになっている会社も少なくない。ならば、と思い、放っておいてほしいとオーナーに意見を送ることで何か間接的にでもお役に立てれば。


 ふたつめ。ベルクさんに任せれば大丈夫、という信頼感。僕がただの顧客であるだけなく、こうした信頼感を持つにいたった一件がある。


 2009年1月のベルク通信が見られる。ここに迫川さんの「私の表現者会議」という一文がある。

 
 これだけ今見返しても、何のことやらと思われるだろう。ここに書かれている展示の状況を端的に言えば、「壁一面にメモがやたらベタベタ貼りまくられている状況」であった。たしかに見栄えは悪いといえば悪かった。この時は二日とあけずに通っていた時期だったが、ある時随分と展示が整理されたと記憶している。あれは
何だったんだろうな、と思っていたところに拝見したのが上記ベルク通信だった。

 
 僕はただの書店員だが、著者さんの様々な思いにぶつかることもある。一緒にやれることもあればやれないこともある。ほかのお客さんとの兼ね合いとか、いろんなことを考える。うまく折り合いを付けられるとき、そうでないとき、いろいろある。そうしたはざまの苦悩を率直に記されたこの文章に触れ、あ、この方は心底信頼できる、と思ったのだった。この思いは今なお変わらない。


 だからこそ、ベルクさん自身が判断・実行する環境であってほしい、と思う。なるべく足手まといになることなく、もしお役に立てることが出来れば、と思っている。
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by todoroki-tetsu | 2016-05-18 13:34 | 運動系 | Comments(0)