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「みんな幸せ」な関係に――ベルクさんに学ぶこと

 自分の売場のことだけでなく、会社としてもいろんなことはやっぱり日々あって、その度にさあ何をどうしようかと考える。結果何もできないことは多いし、むしろ僕が何かを悪化させているかもしれない。仕事をしながら、自分でもよく分からない。きっとそんなもんなんだろう。

 ただ、最近「みんなが幸せになれるやり方はないだろうか?」と考えたり、口にしたりすることが増えた。あれ、これはどこかで見聞きしたフレーズだぞ。そうか、ベルクさんだ、と気づいたのは、珍しく店内中ほどに陣取る(?)ことが出来た数日前のことだ。

 久々にゆっくりと壁を眺めていた折に目に留まった店長さんの文書は「みんな幸せ」な関係にと銘打ってある。厳しい状況の中にあってお客様のことを考え続ける、真摯な商人の思いが凝縮されている。激ウマのクラシックピルスナー片手に、思わず背筋を伸ばした。

 旨いものを食しながら商いを、あるいは人生を、学べる貴重な「場」、それがベルクさんだ。「おもしろくて、ためになる」(講談社さん)ではないが、自分の棚・売場も楽しさ・面白さにプラスαを提供できるような、そんな「場」にしていきたい、と思う。『新宿駅最後の小さなお店ベルク』の世界が、現在進行形で体感できるのは幸せだ。

 これからも勉強させてください。末永く営業できる環境・条件であることを心底、祈っています。
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by todoroki-tetsu | 2009-04-30 17:07 | 運動系 | Comments(2)

西城戸誠『抗いの条件』

 ジョン・ホロウェイさんの『権力を取らずに世界を変える』とか、高祖岩三郎さんの『新しいアナキズムの系譜学』だとか、廣瀬純さん×コレクティボ・シトゥアシオネスの『闘争のアサンブレア』だとか、今年に入ってもいわゆる運動系の本は色々と出ていて、内容はもちろん面白いし、そこそこに売れていたりもする。良いことだ。

 いろんな思想や運動をいかに使うか? という観点から見れば、これらはある種の「実用書」の趣がある。全然タイプは違うだろうけれども、宮台真司さんの『日本の難点』もちょっと似た雰囲気を感じる。

 こうしたテイストも大好きだが、西城戸誠さんの『抗いの条件』のような硬派な研究書も実に味わい深い。出版されたのは昨年秋と、本屋の店頭としては扱いに実に微妙なところではあって、派手なことはしなくてもいいからしっかりと陳列しておくこと、が今後ロングセラーになるかどうかの分かれ目と言えようか。

 西城戸さんは、この分野では稀有にして唯一といえるテキスト、『社会運動の社会学』の著者の一人。まだきっとここに集った方々の中からいろんな成果が出てくるだろう。ここで中心のテーマとなっている「運動文化」という視点、きっと実践の場でも有効に違いない。

 研究と実践との関係を考える上でも大いに刺激になる一冊。

 
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by todoroki-tetsu | 2009-04-28 23:36 | 業界 | Comments(0)

東京外大出版会さんや、アマゾンさんのお話

 基本は出不精なのだが、最近色々と思うところがあって機会があれば外に出るようにしている。別段、出会いはない。「婚活」の不安を振り切るように(?)とにかく勉強してみようという気に珍しくなっている。いわゆる「4月病」。

 先週4/22は、東京外国語大学出版会さん発足記念のシンポジウム「人文学の危機と出版の未来」。版元さんだけでなく書店の方も壇上・フロアにいらっしゃり、作り手と売り手の思いは何となく伝わってきた。さて、自分の売場・棚にお越しくださるお客様に何をどうご提案できるのか、しっかりと考えねばと思う。

 今日は、日本出版学会さん主催の、「Amazon.co.jpと日本の出版市場」なる講演会。アマゾンさんのことはそういえばよく自分自身分かっていないな、と思っていたので期待していた。予備知識がほとんどないせいもあって、非常に新鮮でためになった。顧客志向が徹底しているな、と強く感じる。小売業である以上当たり前のことなのだろうけれども、じゃあ、自分がちゃんとお客様のニーズを感じとっているか、またニーズに応えるような努力をしっかり出来ているか、というとまったく出来てはいない。

 ネットだリアルだという前に、ちゃんとお客様のニーズをつかみ、顧客満足を実現できているかを自分自身に課さぬことには始まらん、と思う。

 商売は日々の勉強と精進。明日からまた頑張ろうと思う。
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by todoroki-tetsu | 2009-04-27 22:22 | Comments(0)

モノは置きよう?

 かもがわ出版さんの『理論劇画 マルクス資本論』、好調だという報はちらほら聞いてはいたし、浅尾大輔さんのブログで知ったのだが、三省堂さんでは人文部門で1位を取ったという。

 自分の売り場でも多少は厚めに確保したつもりだが、そこまでの勢いはない。うーん、とあれこれ置き場所を試しているところ。そうこうしているうちに1万部に到達したという。もちろん、刷った部数≠実売数とはいえ、この御時世でこれはすごいことだと思う。もっと売れるような場所や見せ方がきっとあるんだろう。もっと工夫をせねば。

 『思考の整理学』も、今さら? と思いながらワゴンでやってみたらえらいこと売れているし、いや、なんでもやってみるもんだというか……。ほんと、商売って奥が深いですね。
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by todoroki-tetsu | 2009-04-26 00:06 | Comments(0)

「大月書店通信」が面白い

 昨日に続き大月書店さんネタ。

 大月さんが年明けくらいからメルマガ配信を始めるというので、登録だけはしておいた。いろんな出版社さんでこういうことはやっていらっしゃるが、経験上、いわゆる大手さんよりも中小出版社さんの方が面白いものが多い気がする。

 とはいえ、まあ、情報は入手するにこしたことはないなあ、くらいの軽い気持ちでいた。が、山本三春さんと雨宮処凛さんとの往復書簡が連載されていて、これがめっぽう面白い。いや、大した分量ではないし、月一回発行ではあるけれども、こうした文章を無料で読むことができるのは実に得難いことだと思う。

 よく出版社さんの無料配布PR誌でいろんな人が書いているのを見かけるが、そうした機会が新人の発掘につながっているのだなぁ、と気が付いたのは雑賀恵子さんの『エコ・ロゴス』を読んだ時であった。こうしたメルマガも十分そんな場になりうるのではないかなあ、とふと思った。

 とにかく、一読の価値あり。単なる新刊・イベント案内ではないものを作るのは大変だと思うけれど、頑張っていただきたい。
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by todoroki-tetsu | 2009-04-22 23:38 | 業界 | Comments(2)

要チェック!『レーニン 最後の模索』

 期待と不安とがないまぜな状態で待っていた新刊、それが『レーニン 最後の模索』である。

 期待。僕がレーニン好きだから。全集も十巻選集も持っている。「遠方からの手紙」あたりからの怒涛の半年は何度読み返しても興奮する。あれこれ言われるけれども、やっぱりあれだけのことをなした人だ、批判であってちろんいい、もっとしっかり見直さなきゃいけないんじゃないか、と思う。
 
 不安。そうはいってもレーニンである。今さら感が漂うのではないか。

 ということで、まあ、配本の様子を見よう、と思っていた。

 もうそろそろ発売のはずだが、と思って版元さんに問い合わせてみたら、パターン配本は一切せず、指定配本のみだったとのこと。うわあ、こりゃあまずいや、とあわてて発注。

 ちょっとでも気になったら、すぐに確認しておかなきゃいけないなあ、と反省。もう入荷している書店もきっとあるだろう。そういう書店はちゃんとしたところだ。プロとして恥ずかしい。

 しっかり展示してなんとか挽回したいものだ。

 
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by todoroki-tetsu | 2009-04-22 00:13 | 業界 | Comments(0)

書物復権の目玉は……

 例年のことではあるが、結構好きなのが書物復権。「え、これ切れてたの?」と思うようなものも少なくない。学生時代に読んでいたり見知っていたりしたものでもう入手が難しいものが結構あるんだなあ、ということを逆に実感したりする。

 なんといってももうれしいのは、岩波書店の『社会思想史概論』。高島善哉、水田洋、平田清明という豪華絢爛メンバーによる名著である。「社会思想」という言葉が聞かれなくなって久しい昨今、再読の価値は十二分にある。昔懐かしいと思うお客様にだけでなく、いかに新しいお客様に届けるか……難しいが、チャレンジしたい。
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by todoroki-tetsu | 2009-04-20 20:49 | 業界 | Comments(0)

まだまだ続くか、吉本隆明ルネサンス

 「吉本隆明 語る 2008.7.19コンプリートセット」が、早々に完売したそうだ。

 http://www.1101.com/store/yoshimoto/index.html

 本当にすごいことだと思う。

 きっとこれを機会にまた出版社も企画を立てたりするのだろう。昨年からの一連の「ほぼ日」さんの動きで絶対に吉本さんの著作の売行きは上がっている。

 当然出版社主導ではこんなことにはならなかったわけで、「ほぼ日」というか、糸井さんというか、そのお力とお客さまの力があってこそのこと。

 「ほぼ日」さんの本を店頭でお客様にしっかりアピールすることで、リアル書店に来て下さるお客様に喜んで頂き、そうしたことを通じてちょっとでも「ほぼ日」さんにご恩を返せればと思う。
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by todoroki-tetsu | 2009-04-19 23:55 | 批評系 | Comments(0)

「朝日ジャーナル」は絶好調

 浅尾大輔さん増山麗奈さん双風舎さん澤田サンダーさん、などなど、もういろんな方があちこちで紹介していらっしゃるけれども。

 実に多彩な皆様が寄稿されていて、実に面白い。雑誌売り場でも好調だったが、面白そうなので自分の棚でも置いてみたところ、二日ではけてしまった。やばい。月曜朝一で手配せねば。

 どんな本でもお客様が買って下さるのはうれしいし、ありがたいけれども、こういう本が売れるのって、何かこう、ちょっと違ったうれしさがある。
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by todoroki-tetsu | 2009-04-18 23:58 | 業界 | Comments(0)

廣瀬純×コレクティボ・シトゥアシオネス『闘争のアサンブレア』読了

 年度末からなにかとバタバタしてあげくのはてにこんなに更新が滞ってしまった。この御時世、忙しいということはありがたいことだと思わねばならん……とも思わないのだが、あまり深く考えないことにする。失業が怖くてあくせくしているだけなのかもしれない。よく分からない、とヴェイユを読み返したくなる今日この頃。えらく初速がいいな、とちょっとうれしくなって思わず読了したのが『闘争のアサンブレア』。帯にある惹句、「ハローワークか、アサンブレアか。」が実にいい。

 アルゼンチンのことなど予備知識も何もない。しかも、ここで収録されている内容のほとんどが、2003年のものだという。うわ、こりゃ失敗したか、と思いきや、ぐいぐいと引き込まれてしまった。

 読み終えた後も、結局のところディティールはよく分からないままである。それはひとえに僕の読み方の問題であって本のせいではない。でも、実にスリリングである。なんだか知らないけど、すごく大事で、えらいこと勉強になるぞこれは、という感触だけが、ある。
 
 運動の形態は多様にあるし、国家や時々の権力との関係も極めて複雑。でもそれらを見据えてなお、「自律」をこよなく大切にする姿勢。湯浅さんがしばしば強調される「市民社会」のイメージともどこか違うのだろけれども、でも重なる部分は少なくない気がする。

 僕は順番に最初から読んでいったが、予備知識のない方は末尾にある廣瀬さんの解説「ブエノス・アイレス報告」から読まれた方が入りやすいかもしれない。『フランス ジュネスの反乱』などと並び、すくなくともこの5年の間、日本の社会運動の格好の参考書となるだろう。
 
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by todoroki-tetsu | 2009-04-17 23:31 | 業界 | Comments(0)