座談会「秋葉原事件と時代の感性」(毎日新聞)

 8/20(水)21(木)の二日間にわたって「毎日」夕刊で掲載された、大澤真幸さん、東浩紀さん、大澤信亮さんの鼎談。

 すくなくとも新書1冊にはなるだろう、というくらいの議論の積み重ねが背景にあるように思う。読み応えがあって、一度や二度読んだだけではもったいない。

 今、店頭では『アキバ通り魔事件をどう読むか!?』が継続して売れており、これはその論者の多彩さにおいて現時点でかなり「決定版」だと思ったのだが、この三者の座談会は、議論の深さと広がりの可能性の提示という点において、極めて重要なものだと思う。

 評論として全体的に統制というか均衡がとれているのが大澤真幸さん、色々な異論を全部わかった上できっぱりと言い切ろうとしているのが東浩紀さん、なんとか手探りをしようとしているのが大澤信亮さん……そんな印象を受けた。

 一番印象に残ったのは、「資本主義の横に、愛やケアがあればいいのでは」という東さんの発言を受けた、大澤信亮さんの一言。

 「資本制や民主制自体の中に、それらを乗り越える道を探すことはできませんか?」(21日の「下」にて)

 という言葉である。

 このあとでベーシック・インカムなどの話になるので、この提起はその後の議論に受け止められているともいえるのだが、どうも、あまり掘り下げられていない気がする。

 もちろん、それをこの座談会で求めるのは無理な話なので別によいのだが、要するに、もっとも原理的な問題に、直接ぶつかっていこうとしているのが大澤信亮さんなのではないか、という印象を持ったのだ。
 
 単著が切望される論客、との思いを強くした。
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by todoroki-tetsu | 2008-08-22 20:06 | 業界 | Comments(0)

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