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崎山政毅・酒井隆史『反グローバリズムと労働―資本の支配を生き抜くために―』

 今日ジュンク堂新宿店さんで開催されたトークセッション、「反グローバリズムと労働―資本の支配を生き抜くために―」に行ってきた。何度かここでも記したことのある、『ディオニュソスの労働』の出版記念なのだそうだ。

 冒頭、崎山さんが『ディオニュソスの労働』を持っている人は? と問うた折に手を挙げた人はどれくらいいたろうか。思いのほか少なかった印象があってびっくりした。

 この本が書かれた背景だとか、当時の時代状況、また、どういう読み方をすべきなのか、など、大変面白いお話を伺うことが出来た。お話を聞きながらパラパラとめくり返してみるとまた新たな発見がある。「労働」と「法」が大事なんだ、と繰り返し強調されていた。

 一番興味深かったのは、崎山さんが原広司さんの『集落の教え100』を引きながら、ネグリを読む際の注意とでもいうようなものを挙げられていたこと。具体的には次の二つである。

[11]大きな構想
 大きな仕掛けは、大きな構想を支える。
 大きな仕掛けは、小さな部分によって支えられる。
 大きな構想が、そのまま現実されれば、退屈な集落となる。(P.29)

 ネグリの話だけだととてつもなく大きく、それだけで終わってしまう。そこに「小さな部分」を補って読んでいくのが大事なんだ、と。
[16]共有するもの
 人間が意識の諸部分を共有するように、諸部分がそれより小さな諸部分を共有するようにして、集落や建築をつくれ。
 この方法が幻想的な世界の基礎である。
 みんなでつくらねばならない。みんなでつくってはならない。(P.38)

 みんなが同じことをやる必要はない。違っているからこそ共鳴が生まれるんだ、と。

 自分でただ『ディオニュソスの労働』と格闘しているだけでは絶対に原広司さんにはたどり着かなかっただろう。早速買ってしまった。また新しい世界を知ることが出来そうで楽しみだ。

 こうした思いを、日常的に自分の棚でお客さまに感じてもらえればよいのだが……。まだまだ工夫を凝らさねば。



 
 

by todoroki-tetsu | 2008-07-28 23:41 | 業界

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