吉本隆明の講演「日本経済を考える」を聞く

 『吉本隆明の声と言葉。』特典の第二弾、「日本経済を考える」を聞く。

 「経済学は支配者、もしくは指導者の学である」という話(この部分は『声と言葉。』にも収録されている)から、講演のあった1988年当時の「円高・ドル安」や農業自由化の問題などが語られる。時代背景はもちろん今と違うし、吉本さんの話の各論については、正直、よくわからない。

 が、庶民の立場でどう考えるか、という語り口は面白く感じた。たぶん、字面で読むと反発もしくは違和感を覚えたかもしれない。話で聞くと比較的すんなりと入る。要するに、自分の実感から出発しましょう、ということを言っているんだと思う。こういう姿勢というか立ち位置というか、やはりこの人は詩人というか文学者なんだな、と。

 質疑応答が収録されていて、これがまた非常に面白い。質問者の意図を探りながら、言葉を選んで答えようとするうちに気持ちが乗ってくるのがわかる。

 「五十度の講演」の収録内容がアップされていた。

 「苦難を超える──『ヨブ記』をめぐって」に惹かれる。大澤信亮さんの小説「左翼はなぜ間違っているのか」(「ロスジェネ」所収)を読んで以来旧約聖書が気になっていて、パラパラと気になったところを読み返している最中なので。

 「苦難」とはどういうもので、それにどう対峙(対処?)していくのか、ということ。「今」とひきつけすぎるのは間違っているのかもしれないし、結局のところ自分で考えるしかない。だが、批評家/評論家の言葉は、自分なりの考えを積み重ねていく上での大きな手掛かりになるはずだ、と信じている。
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by todoroki-tetsu | 2008-07-25 19:55 | 業界 | Comments(0)

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