『新宿駅最後の小さなお店ベルク』入荷&読了

 『新宿駅最後の小さなお店ベルク』、発売より少し早く、無事入荷。仕事を終えた後一気に読了。 迫川さんの写真がふんだんに収められていて何とも贅沢。

 土井英司さんが随分早くから【今、一番売れてほしい本】絶賛されておられたが、一読してその意味がよく分かった。

 こういう本は、完全にノウハウに特化するか、「オレ話」に終始するか、そのどちらかになってしまう公算が高い。が、この本はそのあたりのバランスが絶妙。「ベルク」という個人店、それもとびきり個性的なカフェの話でありながら、そうした経営に到るまでの、そして今なお続く不断の努力がいきいきと描かれているために、個人店を語っているのでありながら、どんな場所・立場にも共通する普遍性が感じ取れるつくりになっている。

 いちいち身につまされながら読んだのは、「不器用なスタッフほど成長していく」という節(p.198-213)。クレーム対応、遅刻するスタッフへの叱り方、シフトの組み方……。20ページにも満たない分量だが、こんなにいきいきとした実例を豊富に取り上げ、実践的だった本があっただろうか?

 接客についてはもちろんここでだけ触れているのではなくて、例えば、こんな記述もある。
 
(前略)現場での臨機応変さは、プロとして当然求められる技ですが、秘訣をあえていえば「横綱相撲」のイメージで接客すること。/「横綱相撲」とは、どんな相手がどんなふうにかかってきても、がっしり受け止めて差し上げること。それには懐の深さといいますか、心身ともに余裕がないと、擦り減ってしまいます。(P.78-79)


 そうか、「横綱相撲」か! こういう言葉は接客技術本からはなかなか出てこない(もちろん、そういう本も大事ではある)。やはり現場に立っている人の言葉の重みは違う。

 さらに、こんな言葉がある。

「例えば四人席を一人客が陣取っているのを見ると、経営者はそのお客様をつい別の席に移動したくなります。(中略)でも、その一人客が帰るまでに団体客が来るとは限りません。経営者は席にしろ何にしろ、店そのものが自分の商売道具という意識が強いので、愛情はあるのでしょうが、思惑と違った使われ方をされるのが許せないのです。相手がお客様であっても、つい手を出したくなる。/しかし、それでは経営者が現場にいても、いることにはなりません。なぜなら、現場とは接客だからです。接客をしないで店をまわす経営者は、むしろ現場を邪魔することになります」(p.71-72)


 「現場とは接客」! この断言のなんと歯切れの良いこと! 自分は経営者ではもちろんないけれども、こうしたことを忘れてはいけないと思う。

 他にもまだまだ勉強になることが盛りだくさん。飲食の方はもちろんのこと、接客・小売に関わる人すべての必読書。さ、売るぞ!
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by todoroki-tetsu | 2008-07-04 00:11 | 運動系 | Comments(0)

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