『フリーター論争2.0』読了

 『フリーター論争2.0 フリーターズフリー対談集』、ようやく今日入荷しましたので書き込みます。

 いわゆる「雑誌」ブームにひとつの画期を作った(ように棚では思えた)『フリーターズフリーVOL.1』の続編といってよいのかは分からない。今回はフリーターズフリーが編集プロダクションとして人文書院に原稿を納めた、というスタイル(大澤信亮さんの「あとがき」より)なのだそうだ。でももちろん流れは汲んでいる。

 論考を集めたものではなく、サブタイトルにもあるとおり、対談集である。多彩なメンツが揃っており、議論の幅の広さと奥行きの深さが同時に感じられる。

 杉田俊介さんの「はじめに」にガツンとやられる。

 「……われわれの多くがすでに限界と疲弊を、心のどこかでは退屈すら、感じていないか? しかし、問題はその先にある。『祭りのあと』的な空気と弛緩の中でこそ、一人ひとりの中で、運動と支援の意味がもう一度自己検証されていくからだ」(p.2)

 どの対談も考えさせられるが、どれと挙げることは今できない。読後感としては二つ。

 ひとつは、栗田隆子さんのお話をもっと聞いてみたいな、ということ。5本の対談のうち3本(貴戸理恵×雨宮処凛×栗田隆子×大澤信亮:「この生きづらさをもうないことにしたい――プレカリアートな女たち」、雨宮処凛×城繁幸×大澤信亮×栗田隆子×杉田俊介:「若者はなぜ『生きさせろ!』と叫ぶのか?――多様な生の肯定に向けて、武田愛子×ちろる×そら豆×生田武志×栗田隆子×大澤信亮:「支援とは何か――野宿者支援のグラデーション」)に登場しておられ、控えめだが、考えに考えを重ねて言葉を振り絞っているように感じる。もっとじっくりとお話を拝読したい、という気にさせられる。

 もうひとつは、これは最後に収録された対談(小野俊彦×大澤信亮×杉田俊介:「新たな連帯へ――法・暴力・直接行動」)に顕著なのだが、そこかしこに「暴力」の問題への言及があるということ。主に杉田さんが話題を先導しているように思えるが、今この段階でこうしたことを考えるのはすごく重要なことだと思う。いわゆる「運動」だとか「活動」といったものに対するイメージの問題というだけでなく、自分自身に内在する暴力というか、そういったものに対するまなざし。大事だと思うが、でも一方でものすごくしんどいことだとも思う。

 読みながら僕は、「お前はどうするんだ?」と問われているような気がしてならなかった。こんな感覚は赤木智弘さんの『若者を見殺しにする国』以来。読みながら自分の覚悟を問われる、という読書は久しぶり。

 「舌触り」のよい本も決して悪くないが、こういう本も、いい。
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by todoroki-tetsu | 2008-05-15 23:56 | 業界 | Comments(0)

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