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「かつて、ぶどう園で起きたこと」再読その二

 論旨は順に追いつつも、前後しながら、しかし丹念に一行一行を読んでゆく、そうした作業を地道に積み重ねていくほかはない。それにしても今日は、暑い。

 
 1:「ロスジェネ文学」は、ほんの10行余りで終わる。導入といえば導入だが、いきなり難関にぶち当たる。

 「ロスジェネ文学」とは、「溜めのない世代」の物語で、おそらく「神を待ちのぞむ」。すなわち、若者たちの貧しさと不当に損なわれているという心象のスケッチは、この世界が――私たち人間こそが、もっとも信じるに値しない被造物であるという疑念をもたらして、ふたたび「神の問題」と向き合わせる。



 なぜここに「神」が登場するのか。そもそも、ここで言われる「神」とは何ものか。自然なのか絶対者か、それとも、ほんとうに文字通りの神なのか。だとすれば、それは唯一神なのか多神なのか。判らない。ほんとうに判らない。


 神と人間……吉本さん流に言うなら「絶対的存在」と「相対的存在」であろうか。いやまて、「被造物」とある。何ものかが、何ものかを造ったのだ。その関係は、例えば、逆転しうるのかどうか。


 私たち人間こそがもっとも信じるに値しない、というのは、なんとなく判る気がするが、それとて、導入でいきなり判った、といえるほどの材料はない。


 様々な疑問を抱えつつ、次に進むことにしよう。疑問によって生じた空白を、すぐさまに埋めるようなことは出来る限りしないようにしてみよう。


 

by todoroki-tetsu | 2012-07-26 22:00

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