ブレーカー

 家を出る時にはブレーカーを落とすことにしている。

 
 歩いてほんの数分のコンビニに出かけたりする程度ならそのままにするけれど、出勤する時や休みのときで少し出かける時にはブレーカーを落とす。たぶん、3/12か13か、そのあたりからはじめた習慣。


 そもそもは、節電という発想だったと思う。「ヤシマ作戦」という言葉を目にしたな、と今思い出した。そして、東電の電気を使うのはいやだな、となんていうふうに考えたことも今、思い出した。


 でも、何がきっかけでそうするようになったのかといちいち考えるまでもなく、この8カ月程度の間は無意識のうちの習慣となっていた。日常のほんの些細なことでの変化が非常に重要な意味を持つ――そんな風に大澤信亮さんは語っておられたが(恵泉女学園学園祭シンポジウムでのご発言)、僕にとってのそうした些細な変化の一つは、ブレーカーを落とすことだった。

 
 過去形で記さなければならない。僕は今日、ブレーカーを落とし忘れて出勤したのだ。数時間前に帰って来て気がついた。何も変わったつもりはない。変えたつもりもない。この8カ月、「うっかり」忘れたことなんてなかったのに……。


 ブレーカーを一日落とそうが落とすまいが、世の中への影響なんてまずありゃしない。だから、これはあくまで僕一人だけの問題だ。おそろしく瑣末で、些細な問題。でも、僕にとって重要な何か、考えなければならない何かが、どうにもあるように思えてならない。だけど、どう考えればいいのか、まだよく判らないでいる。


 中島岳志さんの対談本、『世界が決壊するまえに言葉を紡ぐ』がまもなく出るという。聞いたところによれば、雑誌収録時におさめきれなかった対談内容を相当程度の分量収録しているとのこと。僕の些細な問題は僕自身が向き合うしかないのだけれど、その覚悟をより深めるためにも、自分の問題を深めていくための「手がかり」を得るためにも、入荷したらまず真っ先に読むつもりでいる。
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by todoroki-tetsu | 2011-12-06 22:36 | Comments(0)

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