買切品について考える その二

 その一に引き続き、下記の基本条件をそのままに、今度は委託品と買切品を両方扱うケースについて考えてみます。

〔基本条件〕
・仕入の元手は¥100,000
・委託品A 販売価格¥1,000 仕入値¥770 
・買切品B 販売価格¥1,000 仕入値¥600 
・返品にかかる諸経費 一冊当たり¥50(これは適当。もっと大きいかもしれない)
・仕入にかかる諸経費は除外する(一応取次さん持ちと考える)
・返品/仕入の諸経費ともに人件費は除外
・返品入帖までのタイムラグは考慮外
・消費税は除外


〔例7 委託品A・買切品Bを各50冊仕入れ、委託品Aが完売し、買切品Bがすべて売れ残った場合〕
¥100,000
-¥770×50(委託品Aの仕入)
-¥600×50(買切品Bの仕入)
+¥1,000×50(売上)
-¥600×50(買切品B残部除却)
=¥51,500

 ¥48,500の赤字。まあ、当たり前ですね。
 
〔例8 委託品A・買切品Bを各50冊仕入れ、買切品Bが完売し、委託品Aがすべて売れ残った場合〕
¥100,000
-¥770×50(委託品Aの仕入)
-¥600×50(買切品Bの仕入)
+¥1,000×50(売上)
+¥770×50(委託品Aの返品入帖)
-¥50×50(返品諸経費)
=¥117,500

〔例7〕同様ちょっと考えにくい事例ですが、一応の基準として考えてみます。ちなみにこの場合の利益¥17,500は、〔例5〕(その一参照)で委託品100冊を仕入れ、80冊を売って20冊を返した場合の利益とほぼ変わりません。

 この上で、委託品Aと買切品Bの比率が変わったらどうなるか、考えてみます。仮に、

・委託品Aを70冊、買切品Bを30冊の合計100冊を仕入れた場合 
 とし、それぞれの売れ行きごとに試算してみます。

〔例9 委託品Aがすべて売れ残り、買切品Bが30冊売れた場合〕
¥100,000
-¥770×70(委託品Aの仕入)
-¥600×30(買切品Bの仕入)
+¥1,000×30(売上)
+¥770×70(委託品Aの返品入帖)
-¥50×70(返品諸経費)
=¥108,500

 今までの試算では売れる数を50冊としましたが、この例ではちょっと少なく30冊と試算してみました。〔例1〕(その一参照)で委託品Aだけを100冊仕入れ、50冊売って残りを返品した場合の利益¥9,000よりやや低い程度と考えれば、「売上」は減っても商品構成を変えることで「利益」を確保することが可能である、という当たり前のことが確認できます。もちろん、仕入精度の向上は不可欠ですが……。ちなみに、この場合の買切品Bの消化率は100%です。

〔例10 買切品Bがすべて売れ残り、委託品Aが50冊売れた場合〕
¥100,000
-¥770×70(委託品Aの仕入)
-¥600×30(買切品Bの仕入)
+¥1,000×50(売上)
+¥770×20(委託品Aの返品入帖)
-¥50×20(返品諸経費)
-¥600×30(買切品B残部除却)
=¥74,500

 ¥25,500の赤字。「売上」は50冊ですが、「利益」を見ると何が何やら。商いをやっている意味がありません。

〔例11 委託品Aが30冊売れて残りを返品、買切品Bが20冊売れて残りを除却した場合〕
¥100,000
-¥770×70(委託品Aの仕入)
-¥600×30(買切品Bの仕入)
+¥1,000×50(売上)
+¥770×40(委託品Aの返品入帖)
-¥50×40(返品諸経費)
-¥600×10(買切品B残部除却)
=¥10,900

 利益¥900、赤字ではないけれど……。利益を出すって難しいですね。ちなみに、この場合の買切品Bの消化率は20/30=66%。

〔例12 委託品Aが25冊売れて残りを返品、買切品Bが25冊売れて残りを除却した場合〕
¥100,000
-¥770×70(委託品Aの仕入)
-¥600×30(買切品Bの仕入)
+¥1,000×50(売上)
+¥770×45(委託品Aの返品入帖)
-¥50×45(返品諸経費)
-¥600×5(買切品B残部除却)
=¥107,500

 ああ、やっとこさ「らしい」利益が出ました。でも、〔例1〕(その一参照)で委託品Aだけを扱い、50冊売れて残りを返品した時に出る利益は¥9,000でした。それを考えるとやっぱり厳しいですね。ちなみのこの場合買切品Bの消化率は25/30なので83%。〔例11〕と比較すると、売上じたいが増えなかったとして、消化率80%をクリアしないことには利益が出ないとはいえそうです。100冊のうちの30冊だからいいや、というわけにはいかない。

 粗利40%の買切品の場合、やっぱり消化率80%あたりがどうも目安になりそうです。
[PR]

by todoroki-tetsu | 2010-03-28 07:55 | Comments(0)

<< 政党機関紙配布の判決について 買切品について考える その一 >>